発達障害者を会社都合で辞めるにも色々と検討する必要があります。
発達障害(ADHD)で退職したら、自己都合退職になるか会社都合退職になるかが重要です。自己都合退職になった場合、失業保険の受給開始時期を2ヶ月間も延長されてしまいます。
発達障害の従業員が職場で度々トラブルを起こしたとします。
配置転換を検討したものの適切な部署が見つからない場合など、退職してもらう以外の道がない場合もあるかと思います。
今回の記事では【発達障害者退職会社都合】就職困難者やアスペルガーやadhd退職勧奨での対処!についてお伝えします。
【ADHD退職勧奨】適応障害や発達障害・アスペルガーで解雇の対処!
発達障害とは
ADHD(注意欠如多動症)とは、「発達障害(神経発達障害、神経発達症)」という、脳の機能障害の分類の一つです。
ADHD以外の発達障害には、ASD(自閉スペクトラム症)やSLD(限局性学習症群)などがあります。
発達障害における「脳の機能障害」とは、脳の機能のバランスにばらつきがある、つまり突出している機能や十分に発達していない機能があるといった状態のことを指します。
もちろん、誰の脳機能にも多少のばらつきはあります。
その上で、ばらつきが大きく、学校や家庭での生活の妨げとなる場合に、医師の診察のもと、発達障害という診断がなされます。
かつては、「育て方や環境によって発達障害になるのではないか」という見方もされていました。
ですが、現在では「発達障害は後天的になるものではなく、脳の機能の偏りが関係する生まれつきの特性である」と結論づけられています
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ADHDの特性
ADHDには多くの特性がありますが、その中でも下記の2点がよく見られるものとして挙げられます。(参考:田中康雄『大人のAD/HD』)
- 不注意…忘れ物やケアレスミスが多く、確認作業を苦手とする
- 多動・衝動性…気が散りやすく、貧乏ゆすりなど常に身体を動かしていないと落ちつかない
その他にもよく挙がる特徴として、「マルチタスクやスケジュール管理が苦手」といったものがあります。
ADHDの強み!(発達障害)
ADHDの特性の職業上の強みは、例えば下記の5つを挙げることができます(参考:榊原洋一『図解 よくわかる大人のADHD』)。
- 発想力に富んでいてアイディアが豊富
- 好奇心旺盛で新しいことにチャレンジできる
- 興味のある分野には没頭することができる
- 決断力があるのでスピーディーに物事を判断できる
- 感覚に優れていて周囲の環境に敏感
上記の特性をうまく活かすことができれば、主に多動・衝動性から生まれる、職業上の強みにつながるかもしれません。
ADHDの弱み(発達障害)
反対に、ADHDの特性が、仕事の上で弱みになることもあります。
代表的なものは、以下の5つです。(参考:日本精神神経学会「今村明先生に「ADHD」を訊く」)
- 書類の記入漏れなどのミスをしやすい
- 仕事の優先順位をつけるのが苦手で先延ばししやすい
- 複数案件を処理しようとすると業務効率がぐんと落ちる
- 整理整頓が苦手で書類や物をなくすことが多い
- 感覚に優れていて他人の意見に耳を傾ける前に発言したり行動したりする
発達障害者退職の自己都合退職とは
発達障害(ADHD)で退職したら、自己都合退職になるか会社都合退職になるかが重要です。自己都合退職になった場合、失業保険の受給開始時期を2ヶ月間も延長されてしまいます。
失業保険ではすべてのケースにおいて申請後7日間の「待機期間」が適用されますが、その後は自己都合退職か会社都合退職かで支給開始時期が異なります。
会社都合退職なら7日間の待期期間後すぐに支給が開始されますが、自己都合退職の場合にはさらに2ヶ月間の給付制限期間が適用されてしまうのです。
従業員が退職すると会社はハローワークへ届け出をしますが、このとき「自己都合退職」としてしまうケースが少なくありません。そうなったら、その従業員は2ヶ月経たないと失業保険をもらえない可能性が高まります。
また自己都合退職になると、受給日数も短くなり総支給額も大きく減額されてしまいます。
発達障害(ADHD)で退職したのに「自己都合退職」と報告されたら、従業員が自らハローワークへ申請することによって会社都合退職にしてもらえる可能性があります。
発達障害者退職の会社都合退職とは
以下のような場合であれば、発達障害(ADHD)による退職が会社都合退職になります。ハローワークに相談してみてください。
- パワハラによって二次障害になった
- 退職勧奨を受けた
- 長時間労働で二次障害になった
証明する資料をもってハローワークへ行きましょう。上司から届いたメールや指示書、シフト表、営業日報の写し、給与明細書、退職勧告の通知書や録音データなどが証拠となります。
発達障害(ADHD)で離職した場合、会社都合退職でなくても給付制限期間を適用されない可能性があります。傷病による離職者は「特定理由離職者」となるためです。
特定理由離職者扱いになると、自己都合退職であっても2ヶ月の給付制限が適用されず、給付日数も会社都合退職と同じになります。
【ADHD退職勧奨】アスペルガーやADHD退職勧奨は差別に当たる可能性も
発達障害の従業員が職場で度々トラブルを起こしたとします。
配置転換を検討したものの適切な部署が見つからない場合など、退職してもらう以外の道がない場合もあるかと思います。
退職勧奨とは、使用者である会社側が、労働者である従業員に自主退職を促すことをいいます。退職勧奨を行う場合の流れと注意点について説明します
退職勧奨の流れ
一般的には退職勧奨は、解雇と比較するとトラブルに発展する可能性は低いですが、慎重に進める必要があります。
- 退職勧奨通知書‧退職勧奨同意書の用意
- 面談‧退職勧奨通知書を渡す
- 退職勧奨同意書に署名をもらう
発達障害者が職場内でのトラブル等により精神的なダメージを受けたとします。二次障害としてうつ病や適応障害等の
精神疾患を発症するケースはあります。私がそうでしたし、発達障害者は自分が発達障害と認識していない人もおおいでしょう。
退職勧奨の対象となる従業員が二次障害を発症していた場合、退職勧奨を行う前に治療のために休職させる等の対応が必要となります。
発達障害者が職場に関連するストレス等が原因で精神疾患を発症した従業員に対して、会社が適切な対応を怠った場合、安全配慮義務違反に問われる可能性があるので慎重な対応が求められます。
私の場合は退職した従業員とトラブルにならなりました。
退職勧奨を行う環境や方法等によって、対象となっている従業員が追い詰められたと感じないように配慮する必要があります。
労働者の募集・採用、賃金、配置、昇進、教育訓練など雇用に関するあらゆる局面で、は、障害者であることを理由とした不当な差別的取扱いに当てはまるため、「障害者雇用促進法」で禁止されています。
引用元:雇用分野における障害者に対する差別は禁止されています(厚生労働省)
・障害者であることを理由に障害者を排除すること
・障害者に対してのみ不利な条件を設けること
・障害のない人を優先すること
そのなかで退職勧告について下記のように記載されています。
- 労働能力等に基づくことなく、単に障害者だからという理由で、障害者のみを退職を勧奨する対象とすること
- 障害者でない者については成績が最低の者のみを退職を勧奨する対象とするのに、障害者については平均以下の者を退職を勧奨する対象とすること
- 退職を勧奨する対象となる基準を満たす者が障害者を含めて複数いる場合に、労退職を勧奨する対象とすること
合理的配慮をした結果としての退職勧告であるのであれば、異なる取扱いは法律違反に当たりません。
したがって、合理的配慮として特定の職務を切り出し、障害者にその職務を担当してもらう場合は、禁止される差別に当てはまりません。
まとめ:【ADHD退職勧奨】適応障害や発達障害・アスペルガーで解雇の対処!
いかがでしたでしょうか。
【発達障害者退職会社都合】就職困難者やアスペルガーやadhd退職勧奨にならないように対処!についてお伝えしました。
社員が発達障害者になったという理由だけで退職を勧告するのは差別にあたります。事業主の立場として、合理的配慮などを検討してそれでも無理であれば退職勧告は致し方ないとなります。ただ、それもしっかりと合理的配慮が対応できていればの話です。
会社のいい加減の対応により合理的配慮の対応もいい加減であれば、差別として訴えられる可能性は考えておいたほうがよいかと思います。
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