精神障害者雇用で就職すると、法律の定めにより企業から配慮を受けられます。これは仕事をしていくうえで、障害を理由に困難を感じることに対して配慮を受けることです。
「合理的配慮」とはどのようなものか、ご存知でしょうか?
障害のある方が、長くはたらき続けるためには、この合理的配慮をきちんと理解し、就職先の企業から合理的配慮を得ることが大切です。今回は、合理的配慮を求める際に気をつけたいポイントについて、紹介します。
配慮方法は障害の特性のより様々です。「具合が悪くなったときに自由に休憩できる」「電話応対をしない」など、障害を持たない一般雇用の方から見ると「不平等」と思われてしまうことがあります。
【合理的配慮わがまま】なの?健常者との違いで疲れる
合理的配慮とは?健常者との違い
障害者雇用では、障害による困りごとへの配慮を、「合理的配慮」として事業主に求めることができます(この場合の事業主とは、一般企業や自治体、教育機関等を指します)。
障害のある人は、社会の中にあるバリアが原因で、生活しづらさやはたらきづらさを感じることがあります。
「合理的配慮」は、障害のある人が感じるバリアを取り除いたり軽減したりすることで、環境や状態を整え、その人らしくイキイキとはたらくことができるようにする取り組みです。
【合理的配慮わがまま】大学や職場でわがままにならないステップ
障害のある人がはたらく上で、企業側に合理的配慮を求めたい場合、どのように進めればよいのでしょうか。ここでは、合理的配慮を進めるための4ステップを解説します。
ステップ1:採用時に申し出る
障害者本人や家族、支援者から、合理的配慮を求めることを申し出ます。採用面接時に、合理的配慮についての希望を聞かれることがあるので、その際にきちんと伝えましょう。また、履歴書の本人希望記入欄に、求める配慮を記載することもできます。就労移行支援事業所などを利用している場合は、支援員と求める配慮事項について相談することもできます。申し出が原因で不採用になることはないので、どのような配慮を求めたいのか、自身の障害特性を踏まえて合理性を検討しましょう。
ステップ2:企業側と話し合う
希望する配慮事項について、企業側と話し合います。求めた配慮が、マンパワーや資金力などさまざまな理由から、実現が難しい場合もあるかもしれません。その場合、可能な範囲での配慮案が企業側から提示されることもあります。双方が納得した上で、どのような配慮事項を得られるかを確定することが重要です。
ステップ3:情報共有やフォロー体制を構築してもらう
合理的配慮の運用にあたり、話し合いで決定した配慮の内容について、職場の同僚や上司に共有してもらいましょう。配属部署にどこまで伝えてほしいかの意思表示を行い、理解を広げてもらうことが大切です。サポートの担当者を決めてもらえれば、フォロー体制も構築されるため、問題が生じた際にも相談しやすくなります。
ステップ4:定期的に見直しの機会を作ってもらう
合理的配慮の内容は、定期的に見直し・更新してもらうことが可能です。当初求めた配慮事項が現在も適切か、現在はたらく上で支障となっていることがないかを検証してもらいましょう。そのために必要となってくるのが、企業担当者との定期的な面談や評価面談の機会です。障害者自身が、長くはたらき職場に定着できるよう、企業側と相談しながら配慮内容も更新していきましょう。
【合理的配慮わがまま】職場や会社で『わがまま』と思われる言動
中でも精神障害の場合、症状が見えません。そのためどれだけ困難を感じているかが上手く伝わらないことで、「わがまま」や「傲慢」と思われてしまうことがあります。
このような不満が対人関係の悪化につながり、精神障害者雇用の離職につながってしまいます。
さて、このような「わがまま」と誤解されないためにはどのような工夫が必要なのでしょうか。まず、職場で周囲の方に「わがまま」だと思われやすい言動をご紹介します。
『わがまま』と思われる言動①仕事がうまくいかないことを、他者や業務内容のせいにする
自分の仕事がうまくいかないことを、上司や同僚のせいにしていませんか?「もっと上司が正確な指示を出していればできたのに」「同僚の教え方が悪い」など考えていませんか?口にしなくても、思うだけでも態度に出てしまいます。
また、「こんな業務は役に立たない」「他の業務なら本気が出せるけど、今の業務には向いていない」など、言葉や態度に表していませんか?周囲から「仕事を与えてあげているのに生意気だ」と思われてしまいます。
『わがまま』と思われる言動②経験や立場に見合った言動をしていない
業務に関して提案や改善案を出していくのはとても大切なことです。しかし、「目の前の業務もままならないのに企業の経営戦略を考える」など、経験や立場に見合った言動をしていないケースがあります。
実際にはこのような極端なことは少ないです。しかし、今あなたが行っている業務と考えている理想とのギャップを周囲に感じさせてしまうと「わがまま」「傲慢」だと思われてしまいます。
『わがまま』と思われる言動③指示や助言への受け取りが表面的
上司や先輩の指示を受け流していませんか?または、内容を理解しないまま聞いていませんか?その場では元気よく「はい!わかりました!」と言っても、その後の行動で相手はあなたが聞いているかどうかが分かります。
普通に言ってもあなたが分からない場合、語気を強めて言ってくる方もいるでしょう。このようなときにショックを受け、具合を悪くしてしまうなどを見ると、「勝手な人間だ」と思われてしまいます。
周囲から「返事『だけ』はいいんだけど」など言われたら、注意してください。
『わがまま』と思われる言動④配慮を受けて当たり前、感謝の気持ちが見られない
確かに障害に対しての配慮を受けることはあなたの権利です。しかし、それを埋めるために他の誰かが労力を費やしているわけです。ただ流れ通り働いて帰るだけで、感謝の気持ちがない・薄い場合があります。
こうなると周囲は「配慮されて当たり前なのか?」「障害者は偉いのか?」と感じてしまいます。
「わがまま」と思われやすいケースに、このようなものがあります。さて、周囲に誤解されない工夫をし職場に定着できるためのヒントをお伝えします。
【合理的配慮わがまま】職場で「わがまま」とおもわれない工夫の対策方法は?
仕事の課題は原因を考えず、改善策を考える
どんな事情であなたの仕事がうまくいかなくても、人や業務内容のせいにしてはいけません。この「人」は、あなた自身も含みます。仕事ができない犯人を探しても、何の解決にもなりません。人を責めれば負担になりますし、業務内容を責めれば、任せた人を責めることになります。もし仕事がうまくいかない場合は
- 自分の障害の特徴から、どのように方法を変えればやりやすくなるか
- 周囲の事情などから、どのような方法がスムーズにできるか
- 今の仕事ができない具体的な理由を説明して、業務を変えてもらうようにお願いする。(他にできる仕事を併せて伝える。)
などを提案することです。あなたの仕事を改善するのは、上司だけではありません。あなたからも考えていく姿勢が必要です。
自己理解を深めて、目の前の業務課題をクリアする
周囲からもっとも的外れと思われやすいのは、「あなたの実力と考えていることの差が大きい」ときです。「頑張って活躍したい!」という気持ちは分かりますが、本当に仕事を続けられる人は「目の前の課題をコツコツとクリアできる人」です。
- 今自分にはどんな課題があるか
- 今自分に求められていることは何か
を把握することが必要です。自己理解を深めて、周囲と自分との考え方のギャップを埋めていきましょう。
受けた指示に対して具体的な対処を説明する
「話を聞いていない」と思われているのは、あなたが受け身姿勢である可能性が高いです。指示に対してどう動くかを相手に説明していますか?返事だけですと、その後どう動くのか、相手は不安になる場合があります。
ですから返事だけではなく、指示に対してあなたがどう動くかを具体的に伝えていきましょう。正確に業務を伝えることで、相手は「しっかりやってくれそうだ」と安心します。
感謝の言葉だけでなく、自分からもサポートできることをする
感謝が足りないと言っても、「配慮を受けて当たり前だ」と思っている方は少ないのではないのでしょうか。ではなぜ「感謝がない」と言われてしまうのか。それは「ありがとうございます」という言い方が表面的であったり、お礼をするだけで何もなかったり・・など様々な事情があります。ただ、一方的にあなたが感謝をする立場(=配慮を受ける立場)の状況ですと不満を持たれやすいことです。言葉だけでは、伝わり切らないことが多くあります。
感謝の気持ちが伝わりやすい方法として、あなたからも周囲のためにできることを考えることです。もしできることがあれば、上司や同僚に相談してみることです。言葉で伝わり切れないぶんは、行動で補いましょう。
まとめ:【合理的配慮わがまま】職場や大学で違いで疲れる?
合理的配慮はわかままではありません。ADHDは障害なので意見はしっかりと述べ芭蕉。
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